【月刊NIGOD通信】2021年11月|ゴジラ迎撃作戦【公式】ニジゲンノモリ
「ゴジラ迎撃作戦アフターリポート」などの極秘情報満載!
国立ゴジラ淡路島研究センター
通称”NIGOD”にまつわる
極秘情報満載のレポートです。
ファン必見のレポートは毎月1日に公開!
「元・毎朝新聞記者がかつての同僚に宛てたメールより(一部抜粋)」
「NIGOD(ニゴッド)」という、聞き慣れないその名を初めて聞いたのは、忘れもしない2019年の11月3日の事だ。
「政府が緊急の会見を開く」との情報を得て、すぐさま向かった首相官邸で聞かされた「淡路島沖に未知の巨大生物”ゴジラ“が存在する」という、些か荒唐無稽な政府の発表と共に「旧陸軍からの流れを汲む専門の研究機関」として公表されたのだ。
正式名称は「National Awaji-island Institute of Godzilla Disaster=国立ゴジラ淡路島研究センター」と云い、なんと国立の研究機関であるというのだから驚きだ。
NIGODからの公式発表によると、その研究の開始はなんと大正時代にまで遡るという。つまりこの国は100年も前から「怪獣」の存在を認識し、その研究をしていたということになるのだ。
驚きつつも会見の場でノートPCで原稿を書き、デスクに送信すると、あっという間に号外が作成され、配布されることとなった。
まさか自分が号外を書くことになろうとは思ってもいなかったが、改めて自分の書いた原稿を読み返しながら、私は一つの疑問に行き当たった。この規模の機関がこれだけの年月外国にも気付かれずに、そんな荒唐無稽ともいえる研究ができるものだろうか?
私はデスクに相談し、NIGODについての記事を書かせてくれ、これだけの組織を長年維持できた資金源だけでも突き止めることができれば、かなりのスクープになるだろう、そう頼み込んだ。
私は自分の記者としてのネットワークを通じて、「NIGOD」に関するありとあらゆる資料を集め、その関係者と思しき人物に取材し、その全貌を明らかにすることを試みた。
果たして、それは膨大な量の情報との戦いであった。
取材を進めていくうえで何人もの「同志」たちと知り合い、互いの立場や会社や組織の垣根を超えて情報を交換し、その謎に迫っていった。
調べれば調べるほど、その正体は深く、様々な憶測や陰謀論が飛び交っていった。
曰く、「運営には”M資金“が使われている」だの、「”事業仕分け“の際に一度は解散している」だの、はたまた「怪獣と戦うための超兵器や巨大ロボットを建造しようとしていた」など、真実とも空想ともつかない情報の奔流に、私たちは何度諦めようと思ったことか。それほどまでに、この「NIGOD」の調査は困難を極めた。
発表する目処もつかないまま取材を続ける中、私は何度も自問自答した。
「何のために、こんなことを続けるのか?」と。
しかし、何度も空振りを繰り返し、時には騙され、何度か振出しに戻るうちに、私は自然とその解答を得ていた。
「真実を知りたい」、肩書も地位も名誉も関係なく、ただこの謎に包まれた組織の全容を知りたい。ただそれだけだった。
一つ一つの情報を解き明かし、明らかにしていくその過程こそが、私のモチベーションそのものとなっていった。
その解を得た私は、三度目の号外(ゴジラ迎撃作戦終了)の原稿の執筆を最後に、毎朝新聞に辞表を提出した。
結論から言えば、私は今、かつての「同志たち」と共にNIGODの契約エージェントとして様々な情報収集やそのコントロールに関する業務を請け負っている。
毎朝新聞を辞め、フリーの事件記者(「ジャーナリストと名乗るのはどうも気恥ずかしい」)となってすぐに「元・NIGOD関係者」を名乗る人物と接触してすぐに、彼女は開口一番こう言った「これだけの資料を作り上げた貴方たちのその能力を、是非ともお借りしたい」と。
その言葉を聞いた時、私はすべてを理解した。彼女らNIGODも私たちも、所詮は同じ穴の狢なのだ。
私たち記者は必要とあらばありとあらゆる手段を使って「真実」を追及するが、我々が躍起になってその正体を暴こうとしていた彼らもまた、自分たちの研究の為なら手段を択ばない学者集団なのだ。彼らには研究、私たちには真実の解明。それ以外の事は眼中にないのだと……。
以上が、私たちとNIGODの奇妙な出逢いの顛末である。
ちなみに、我々が作成したNIGODに関する原稿や資料は全て一度回収された上で、NIGODの慣習や現存する資料をもとに形を改めて出版された。https://shop.nijigennomori.com/items/35358500
これは、当然ながら我々が作成した原稿よりも正確で、かつ詳細な資料でもある。興味があるなら、是非読んでみてほしい。
「ミイラ取りがミイラになった」と笑いたければ笑ってくれて構わない。
今はただ、この刺激的な環境と充分な報酬があれば、他に望むものはないということをきみに伝えたかったのだ。
最後に、私が表の世界で活動をしていたその名残に、配布後にNIGODが回収した毎朝新聞の号外がある。
もし入手したければ直接淡路島ニジゲンノモリまで来てほしい。私が現地にいるか否かは明かせないが、私たちと懇意のものが数名スタッフとして勤務しているので、入場後に受付カウンターのスタッフに伝えてほしい。
合言葉はこの文章に出てくる、ある日付の下三桁、期限は今年いっぱい(2021年12月31日)が限度だろう。
いつか会う時が来れば、もう少し詳しいことも話せるだろう。
では、その時まで。